私たちヒトが病気になるように、植物も病気になります。最近、インフルエンザや口蹄疫などの伝染病が社会的な話題になりましたが、人の主食であるイネやジャガイモなどの伝染病は、これまでの人類の歴史で幾度となく飢饉やそれによる移民などを引き起こしており、ヒトや動物の伝染病と同じように大きな社会的インパクトがあります。
植物病理学は、そんな人と植物の病気との関係を取り扱う学問分野です。どうして植物は病気になるのか?植物は、どうやって病気から自分の体を守っているのか?農薬だけに頼らずに植物の病気を防ぐ方法はあるのか?そういった疑問に答えるために、圃場作業から最先端の分子遺伝学の技術までを駆使して研究を行っています。
神戸大学の植物病理学分野では、特に我が国の主食であるイネに甚大な被害を引き起こすいもち病菌を主要な材料として、いもち病菌が特定の宿主植物だけに感染できるのは、どうしてなのか?いもち病菌が病気を起こす仕組みはどうなっているのか?といった課題を中心に取り組んでいます。また、環境に優しい共生微生物を使った病気の防除法についても研究を進めています。