応用生命化学コース 天然有機分子化学

 当研究室では、生物活性天然物の合成研究を行っています。天然物合成は「分子の世界の創造建築」であり、我々はその設計(論理的な合成経路の考案・分子設計)から施工(それらに基づく実験・考察)までを請け負う総合建築業者のような存在です。ただし、目的化合物を合成することが唯一のゴールではありません。

 天然物化学者・生化学者・生物学者等との共同研究によって、それら関連諸分野の発展にも貢献できるような課題、あるいは実用・応用による社会貢献が期待されるような課題に取り組んでいます。

 また、生命科学研究における生体成分の可視化は必須の基盤技術であり、特に生物発光を利用した可視化は高感度検出を可能とし、さらに生体に対して無害であるため重要な研究手法となっています。発光タンパク質に代表される生物発光系は、発光を誘発する生体成分(ATPやカルシウムイオン、そして活性酸素種など)を必須とするため、これら生体成分の変化量を動的に追跡できます。

 我々は有機合成化学を基盤として、活性酸素種で発光が誘発される生物発光系について、その分子機構に関する生物有機化学的研究を行っています。また、この発光系を応用した共同研究も推進しています。

発光二枚貝ヒカリカモメガイ(左上)と発光している様子(右上)
この発光に必要となる天然物デヒドロセレンテラジンの化学構造(中央)

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