平成23年度 神戸大学大学院農学研究科 公開講座は平成23年9月10日(土)に開催いたしました。当日は残暑が厳しい中にもかかわらず、総数で77名(事前申込み参加者58名、当日参加者6名、教員11名、事務2名)の参加がありました。
今回の公開講座は、「これからの日本の農を考える」と題して、今日わが国が抱えている「農」に関する問題の一部を三名の先生方に講義いただき、本研究科が地域とどのように関わりを持ち、農業に対してどのように取り組んでいるかを理解していただくことを目的に実施しました。定刻通り、内田一徳農学研究科長の挨拶のあと、まず、長野宇規准教授が「世界的水危機は回避できるか」と題して講演していただきました。水は無尽蔵に手に入ると錯覚している我々日本人にとっては極めて興味深い内容で、多くの方が認識を改めねばらないと感じておられたようです。続いて金地通夫准教授による「近未来の工場野菜生産」の講演でした。テレビなどである程度御存知の方もおられたようですが、現状を知ることで将来に大いに期待できるとの声が多かったようです。反面、やはり「土」で作らねばという方もおられ、このような点も今後対処すべき点かと思います。
休憩をはさんで最後は「食料輸入と食の安全保障」と題して、現在話題になっているTPPに関する講演を土佐幸雄教授にしていただきました。メディアの公表している数字だけを鵜呑みにして是非を論ずることができないことや、日本の農業に与える影響などを具体的に知ることができました。今回は、これまでの参加者の方々の要望もあり、長めの質疑応答時間を設けたため、活発な議論がなされたと思います。もちろん、いずれもわずかな時間で結論が出る問題ではなく、今回の講演、議論に基づいて参加者の方をはじめ、我々農学の研究に携わる者も今後真摯に向き合っていかねばならないと感じました。
終了後お願いしましたアンケートでは、数多くの希望テーマを挙げていただきました。可能な限り参加者の期待に沿えるよう、これからも充実した公開講座を企画していく予定です。ご期待下さいますようお願いいたします。
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