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環境生物学コース 細胞機能構造学

中屋敷 均 教授 
池田 健一 准教授 

 地球の生物は物理・化学・病原菌ストレスに囲まれて生息している。有害ストレスをうけた生物は一見何事も起こってないように見えるが、目に見えない細胞レベルではストレスにより生じる細胞傷害を消去しようと、細胞機能を変化させて生き残ろうと努める。その消去に失敗すると生物は死滅する。本研究室では、生化学・分子生物学的手法を併用して、多様かつ高度な電子顕微鏡法(高度な細胞像の読取り能力、免疫電顕法、ISH法、細胞化学法、急速凍結法、画像定量法)を用いて植物感染における植物細胞と病原糸状菌の構造的変貌に伴う機能変化を総合的に解析する。

もう少し専門的に知りたい方へ

植物細胞の病害ストレス応答

病害ストレスを受けた植物細胞の構造変化を電顕観察してその機能変化を調べて、病害及び環境ストレス耐性発現機構を解明する。植物感染時には宿主に大規模な構造変化が認められる。これは病原菌の病原性因子が強く働いたためである。また、宿主のみならず病原菌にも大きな変化が認められる。増殖する場合と変性する場合である。前者は宿主の防御機構を突破して感染に成功したことを意味し、後者は植物の抵抗性により死滅したことを示す。病原菌と植物の細胞レベルでの攻防を通して、病原菌の病原性発現機構と植物の抵抗性発現機構を分子生物学法と電顕法を用いて解析して、植物病害の制御に貢献することが当該研究室の目的である。

AK毒素によるナシ葉の細胞膜変性像
AM毒素によるリンゴ葉の葉緑体変性像

植物病原菌の病原性メカニズムの解明と防除への応用

病原菌の植物感染成立にはまず宿主植物への付着が重要となる。病原菌の付着に関与する分子機構を明らかとし、それらを抑制することで新たな病害防除戦略を構築する。また、植物病原菌と腐生生活を送っている微生物とをゲノムレベルで比較し、病原性に重要な遺伝子群を明らかとし、病原菌が進化の過程でどのように成立してきたのか解き明かす。


A付着器を形成し葉内部に侵入を試みるいもち病菌

植物感染における活性酸素の役割

植物感染という異生物の生存をかけた戦いの場に、活性酸素は植物から生成して病原菌に対する抵抗性機構に資することがよく知られている。抵抗性反応の例として、病原菌感染に応答した宿主表皮細胞壁のリグニン形成や防御応答シグナル伝達に活性酸素が貢献することが知られている。活性酸素は植物側からだけでなく病原菌からも生成する。ナシ黒斑病菌やナシ黒星病菌では、感受性品種や抵抗性品種を問わず、クチクラ層を侵入する貫穿菌糸先端の細胞壁に活性酸素生成が認められる。貫穿菌糸での活性酸素生成は菌の病原性あるいは侵略力と関係すると予期される。また、菌核を形成する病原菌の菌糸が接触する場に分泌された粘着性細胞外物質に活性酸素種の生成が認められた。同様な生成はエンドファイトの細胞外物質にも観察されている。植物感染の場で認められるこれら活性酸素がどのような病理学的役割を担っているのかを、細胞学・生化学・分子生物学法を用いて調べている。

付着器より貫穿菌糸を伸ばし葉内部へ侵入するナシ黒斑病菌
(付着器直下では活性酸素を捕捉した黒い沈着物が認められる)
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