食品は、エネルギーと栄養素の供給源としてだけでなく、生体機能調節の役割も担っています。健康や寿命はもちろん、知能や性格まで左右します。
本教育研究分野では、
(1)食品に含まれる成分(フラボノイドやアルカロイド)の分析
(2)食品成分の体内への吸収や代謝
(3)食品成分の生体機能調節効果
とくに生活習慣病(がん、糖尿病、心疾患など)の予防効果などについて、試験管レベルの実験から培養細胞や実験動物を用いた実験まで幅広くおこなっています。
これまでの研究の一例を挙げると、玉ねぎなどに多く含まれるケルセチンは生活習慣病の原因となる酸化的ストレスを軽減します。コーヒーやお茶に含まれるカフェインは皮膚がん細胞の増殖開始を阻害し、細胞の自殺とよばれるアポトーシスを誘導します。コンブに含まれるフコキサンチンは大腸がん細胞の細胞周期を停止させることでがん細胞の増殖を抑え、動物実験において大腸がんの発症を抑える効果を明らかにしました。
最近では食品加工工場からの食品産業廃棄物の有効利用も考えています。このような廃棄物にはさまざまな有効成分が多く残存しているため、食品添加物や健康食品、さらには化粧品・医薬原料として用いること考えています。毎日口にする食べ物だから、もっと知れば、もっと毎日が楽しくなると私たちは信じて研究をおこなっています。
食品成分には、抗酸化活性、抗変異原活性、細胞周期制御、アポトーシス誘導、免疫調節、薬物代謝制御などさまざまな生体機能調節作用をもつ。これらの作用をうまく利用すれば生活習慣病が予防できる。
A) ゼミ旅行の勉強会で研究データを発表する大学院生
B) 遺伝子損傷実験のデータを解析する大学院生
C) 食品中のフラボノイドを高速液体クロマトグラフィーにより分析中の学部生
D) がん細胞を培養をする学部生