応用機能生物学コース 昆虫分子機能科学

昆虫の多様性と特異性を、人を始め他の動物との比較の中から解明し、昆虫の生理機能や行動を制御するメカニズムを、分子的・物質的なレベルで明らかにすることを目指しています。昆虫の生きる仕組みを明らかにすることにより、害虫の防除と有用昆虫の資源利用への道を探る教育研究を行っています。 具体的には、カイコやサクサンなどのチョウ目昆虫を実験対象として、休眠や光周性(日長応答性)、体内時計、高温耐性などについて、分子レベルでの研究を行っています。特に、こうした生命現象における、環境シグナルやストレス刺激に応答する情報伝達機構の解明に焦点を当てています。1. 季節適応現象の研究 体の小さい変温動物の昆虫にとって、冬や夏の生長に不適切な季節を乗り切ることは、進化の過程において不可欠な性質であったと考えられます。当研究室では、昆虫が環境シグナルやストレス刺激に応答して休眠状態のオン・オフを決定する機構とその休眠プログラムの保存・伝達様式に関する研究をおこなっています。特に、日長を測る仕組み(季節情報の入力系)に関しては、分子レベルでの実態解明が進んでいないので、日長刺激に応答する遺伝子群を網羅的に解析することにより、関連因子の同定を目指しています。 2. 生物リズムの研究 多くの生物は、昼夜のサイクルに同調した1日周期の行動や生理活性のリズムを示します。当研究室では、生物リズムを利用した新たな害虫防除法の確立を目指して、主要な農業害虫であるチョウ目幼虫の薬剤感受性や解毒酵素活性などの日周リズムの解析を行っています。また、これらのリズムを制御する概日時計システムとその光受容機構についての研究も進めています。

シグナル分子応答研究部門 ストレス応答制御研究分野