応用動物学コース 動物遺伝資源開発学

 これまで人類が家畜化した動物は多岐にわたり、それらの動物資源はわれわれの生活に大きな恩恵を与えてくれています。当初は捕獲した野生動物を単に飼育するだけの形態であったと考えられますが、このような環境下での繁殖が可能になるにつれ、優れた個体を選び親として利用することができるようになりました。

 この段階で動物資源の有効性は飛躍的に高まり、生物学、遺伝学、統計学の発展を取り入れながら動物の遺伝資源を改良する学問が近代科学において体系化されました。
 動物遺伝資源開発学教育研究分野は、動物が有する様々な有用形質を遺伝的な側面から解析・評価し、それらを効率的に改良するための手法に関する教育研究を中心に行っています。とくにわが国固有の肉用牛である和牛の集団において、有用な形質がどの程度遺伝に支配されているのかといった遺伝性などの調査や効率的な改良を進めるための新たな指標や方法論について検討を行っています。しかしここで忘れてはならないのは、改良の継続が遺伝的な多様性の減少につながり、近交係数の上昇に伴う遺伝的不良形質の発現や近交退化をはじめとする種々の弊害を生む危険性をはらんでいる点です。したがって、改良の方策だけでなく集団の遺伝的構造の変遷や現状を把握し、遺伝的多様性の維持へも配慮した集団構造および交配様式に関する研究も同時に進めています。
また食資源教育研究センターという食糧生産フィールドの立地を活用し、和牛の繁殖、肥育をはじめとする飼養管理に関する試験など、現実の生産活動に直結した教育研究へも積極的に取り組んでいます。