応用動物学コース 動物遺伝育種学

 有史以来、家畜は食・衣・住の素材を提供し、人類の社会生活の形成の根幹を支え、家畜をめぐっての生活形態が民族固有の文化形成に深く関わってきました。しかしながら、近年のグローバル化は家畜の世界に大きな影響を与え、特定形質の生産効率の高い品種のみが飼育されるようになり、多数の品種が絶滅の危機にさらされている状況にあります。国連食糧農業機関(FAO)の報告では、現在登録されている約7,600種の家畜種のうち、過去15年間に190品種が絶滅し、さらに1,500品種が絶滅の危機に瀕しており、特に牛、ヤギ、豚、馬、家禽類など我々の生活に密接に関わってきた主要な家畜が過去5年間をとってみても60品種、つまり月に1品種が消滅しつつあります。動物遺伝育種学分野は、動物が有する有用な能力のさらなる開発を通じて、遺伝資源の活用を図るとともに、現存する在来家畜の進化的関連を明らかにすることにより有用な動物集団の遺伝的多様性の維持に関わる教育研究を展開しております。現在継続中の研究は以下の通りです。

  1. 家畜と野生動物との違いは、家畜が人間に役立つ方向に改良されてきた点です。これら有用な特徴は遺伝子に支配されていますが実際にどのような遺伝子が関わっているのかはほとんど判っていません。そこで、これら有用遺伝子を探し出し、その機能解明をすることが重要となります。主としている具体的な研究課題は、「肉用牛の経済形質に関連する遺伝子の同定および機能の解明」についてです。(図1)
  2. アジアにおける家畜の遺伝的評価と多様性解析を行い、DNA解析に基づいた遺伝資源研究を行っています。主としている具体的な研究課題は、「アジアのウシ・ヤギおける遺伝的構造、起源地および伝播経路の解明」についてです。(図2)
図1:牛肉の育種改良に向けた有用遺伝子探索
図2:家畜の海外調査、伝播経路探索と遺伝構造解析

もう少し専門的に知りたい方へ

 私たちの具体的な研究内容や成果については下記のホームページに掲載しておりますので、動物の育種や遺伝的多様性に興味のある方はぜひ訪ねてみてください。

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