生産環境工学コース 水環境学

調査対象河川の例;ナイル川(スーダン)・トバ湖(インドネシア)・山林流域(奈良)

 河川流域における水の動きを水量・水質の両面から解明するとともに、洪水・渇水災害の防止法、水資源の有効利用法に関する教育研究を行っています。研究例として、洪水・低水流出解析と流出予測、流域水循環モデルとその最適化、自然系流域の水質形成機構と物質移動量の推定、オンサイト水質観測システムの開発、ナイル川やインドネシア・トバ湖流域など、海外における水資源管理と持続可能な潅漑農業に関する研究があります。

 水環境学分野では、現在、河川流域の水文・水質特性、流域管理のための洪水・渇水予測法、山林・農地・宅地などの水系からの物質フラックスのモデル開発と観測システムの開発等について研究を行っています。

 研究課題として「青ナイル川下流域の水資源管理と持続的潅漑農業に関する研究」、「流出モデル定数探索への大域的探索手法と多目的計画法の応用」、「緑のダム機能の水文学的評価に関する研究」、「集水域水質オンサイト観測システムの開発」、「ブートストラップ法を利用した自然流域からの物質流出フラックスの定量化手法の開発」等があります。

 最近の主要な成果は以下の通りです。青ナイル川に関わる研究では、水源である青ナイル川上流域の分布型水収支モデルを構築して長期流出解析を実施し、流域における降水量、蒸発散量、流出量の空間分布を検討しています。また、衛星データに基づいてスーダン・ゲジラ潅漑地区の蒸発散量の空間分布を調べ、潅漑水管理への応用法を提示しています。

 流出モデル定数探索に関する研究では、妥協計画法による流出モデル定数の多目的最適化手法を提案しています。緑のダム機能に関しては、奈良県の山林流域を対象に水文・水質観測を行いつつ、自然林斜面と人工林斜面の植生・土壌調査を実施するとともに、農地造成流域とそれに隣接する山林流域の水文資料を用いて、直接流出特性と表層土壌の浸入能の関係について検討しています。

 集水域からの水質フラックス観測システムの開発研究では、FIA法(フローインジェクション分析法)と電気化学分析法を応用した装置を山林流域に設置し、データ収集と解析を行っています。現在、山林からのミネラル類の長期・高頻度観測データに基づいて、流域からの流出物質量を精度良く定量化するための方法を検討するとともに、FIA法による硝酸塩の観測システムの開発・改良研究を行っています。

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